A jewel in a dunghill

雑念の地下シェルター

キックアス

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ブルース・ウェインは大富豪で、ピーター・パーカーは特殊なクモに噛まれたことでスーパーパワーを手にし、スーパーマンは観たことがないからわからないがすごい力を持っていたのだろう。
だが本作の主人公であるデイヴは力も金も頭脳もなく、唯一持っていたのがスーパーヒーローに憧れる気持ちだった。

 
パリス・ヒルトンになりたがる女子は沢山いるのに、スパイダーマンになりたがる人はなんでいないんだ?」

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なりたい気持ちさえあれば誰だってスーパーヒーローになれるなんてことは嘘で、映画や漫画の中にいるようなヒーローなんて実在しない。
事故により骨を金属で補強されたデイヴもウルヴァリンのように強くもなれないし、圧倒的力を持っているように見えたヒット・ガールとビッグ・ダディも暴力と武器の前にはやられてしまう。
それでも仲間がやられようとピンチな状況になろうがヒーローは最後には勝つ、なぜなら彼らは物語の主人公だからだ。

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ヒーロー作品は主人公であるヒーロー1人を中心に世界は回っている、そのたった1人のために世界観も敵も家族まで全てが設計され、彼が死んでしまうとその世界は消滅すると言ってもいい。
ヒーロー作品の構図に従いながらも弱く平凡以下の主人公、さらにヒット・ガールというキャラクターを加えることでキックアスという弱すぎるヒーロー作品になった。

強いヒーローのもとに強敵が現れる作品は沢山ある。だけど本作は弱いヒーローという本来ならコメディよりの設定にしながらも、実際の戦闘シーンは銃やナイフを使ったバイオレンスな描写が多く息を呑むようなシーンが多かった。
設定だけ見るとB級作品だと決め付ける人は多いだろうがこれは映画だ、映像の見せ方や演出・演技次第で安っぽい設定も化かすことができるみたいだ。