A jewel in a dunghill

雑念の地下シェルター

呪術廻戦がとにかく熱い

今一番熱い漫画は何かと聞かれたら、呪術廻戦だと即答するだろう。

ジャンプで連載中の本作は、呪霊という負の感情が具現化し意思を持った存在を呪いの力によって祓う呪術師という者たちが登場する。

主人公は呪術師を育成する呪術高等専門学校にひょんなことから入学し物語は繰り広げられていく。呪術というテーマは漫画として触れたことはあまりなかったので新鮮に感じるが、ものすごく珍しいテーマとまではいかないだろう。

 

過去にアニメ化されたこともある東京レイヴンズという作品が原作はラノベだが近いのかもしれない。

だがこの作品にていえることは、呪いというテーマをジャンプ王道バトル漫画にうまく落とし込んでいることだ。

世の中が漫画で溢れかえっている現代において、バトル漫画を単調な戦闘が続くだけの飽きやすい作品にしないためには、見せ場となる必殺技のようなものが必要だ。

過去のジャンプ人気作も決まってこの要素は含まれていたはずだ。そして呪術廻戦においての必殺技は現時点では「領域展開」になるだろう。

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領域展開とは、呪いや人間が持つ心の内側「生得領域」を、術式を付与して呪力で周囲を構築したもの。限られた呪霊や呪術師が使用し、外見や効力はそれぞれで異なる。また、内側からでるのは非常に困難だが、外側から侵入するのは容易であるという特性を持つ。

展開に使う呪力は膨大だが「環境要因による術者の能力上昇」「領域内で発動した付与された術式は対象に必ず的中する」といった大きなメリットがある。(Wikipediaより引用)

 

この領域展開を初めて見たときに思い浮かべたのは、漫画BLEACHにでてきた東仙要が使う卍解である「清虫終式・閻魔蟋蟀」だ。

いうなれば、自らが作り出した空間に相手を閉じ込め、最大限バフされた技で相手を追い詰める絶対時間(エンペラータイム)にはわくわくするしかなかった。

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こんなものを見せられると今後出てくる強キャラの領域展開を見たくてしょうがない。

作者もBLEACH読者であったと思うが、BLEACHにおいても、個々の技というより卍解が初めて登場する話というのが作品の大きな魅力であった。

キャラクターが話が進んでいくにつれて新しい必殺技を取得していくというよりも、死神たちは強さの第一段階として始解を手に入れ、その中でも一握りの者たちが手にした卍解という最終奥義のようなものが登場する格好良さがそのキャラクターの強さの全てを見ているようで楽しかった。

 

最終奥義というとそのキャラクターの底が見えてしまうかもしれないがBLEACH卍解に至るまでにキャラの見せ方が上手いからこそキャラクターの魅力は薄れていかなかった。最後の最後まで卍解を見せなかったキャラがいるのも憎いが魅力かもしれない。

 

話が脱線してしまったが、領域展開とはそのキャラクターが最後に行き着く到達点であり、必殺技中の必殺技だと現時点では思う。

キャラクターは成長の余地がある限り魅力としては確定していかないのかもしれない。まだまだ成長するということは良くなれば悪くなることもある。

だからこそ本当の必殺技を決めてしまい、そこまで行き着いたキャラクターを登場させたり、キャラクターがそこに行き着いた時こそほどそのキャラクターの魅力はピークに行き着きのだと思う。

 

多くの漫画に出てくる最強のキャラクターという立ち位置のキャラが魅力的なのは、強さの底を見せているからだと思う。

底が見えているからこそ、絶対に勝利するという安心感や、こんな敵になんて負けないという読者が最強キャラに感情移入したうえでの優越感を得ることができる。

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そしてこれらの魅力を最大限に引き上げているのは作者のワードセンスだろう。

キャラクターのセリフの一つ一つにキャラクターの魅力が込められている。

つまらないキャラクターが面白い世界にいるだけでは作品はB級作品になってしまう。面白いキャラクターが面白い世界にいる呪術廻戦こそ、過去の王道ジャンプ作品を読んで育った作者が描くジャンプの集大成になるのかもしれない。