A jewel in a dunghill

雑念の地下シェルター

ガンダムビルドファイターズトライの成功と失敗

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ガンダムとは戦争だ。そこには命のやり取りが存在し、自分の正義に従い戦う人々のドラマだった。
だが、ガンダムビルドファイターズはそういった要素が一切排除され、歴代ガンダムシリーズがアニメ作品として存在する現代日本と似たような世界だ。
一つ違うところがあるならガンプラバトルというプラモデルを使ったバトルが広く知られ人気を持っていることだ。

 

プラフスキー粒子という粒子によってガンプラを操縦して戦うガンプラバトルとは、ビルダーとしてのガンプラ製作と操縦により可能性が広がっていく世界的な競技として知られていた。

この作品の魅力として大きかったのは、ガンダムガンプラとして扱ったことだ。普段私たちがガンダム作品で見るのはモビルスーツという機体であり、それらを私たちの世界に落とし込んだものがガンプラだった。
そんな現実で唯一触れることが出来る立体のガンダムをアニメの中で主軸にしたことは面白かった。
それまで私たちが作り、人によっては改造していたものが動くなどワクワクしないわけがない。

既存のガンプラをベースに作られた機体が戦う、そしてそれらも新たなガンプラとして世の中で発売される。争いの中で体の延長として生み出されたMSはガンプラバトルという個々人の自己表現として生まれ変わったのだ。

それがガンダムビルドファイターズ、そして2期になる現在放送中のトライは前作より7年後の話になっている。
前回とは違うのは学校間における3対3のチームバトルになっていることと、次元覇王流が現れてしまったことだ。

ガンダムタイプ多くない?」疑問は多くあるが、まずはこれだ。
前作はボス機体はガンダムエクシアベースだったりガンダムXベースのライバルはいたが、ケンンプファー,ジムスナイパー,キュベレイといった魅力あるライバル機が多く存在し、何より一目でベースになっている機体がわかった。

しかし今作はガンダムタイプのオンパレードに加え、ベースとなった機体がわからないものが多い完全オリジナル機体におけるガンダムバトルロイヤルになってしまっているのだ。
もちろん大人の事情というものがあるかもしれないし、実際にかっこよかったりする部分はあるから良いとしよう。

だが、次元覇王流だけは看過できない。ガンプラバトルの楽しみが損なわれてしまっているから。
「次元覇王流〇〇~」
この数秒後に敵のガンプラが破壊される

う~ん...

ガンダムBFTはプラモの金型や合体という浪漫プラモを生み出してくれたかわりに、主人公の短調な技でそれらを破壊していくプラモ展覧会になってしまっているのだ。