A jewel in a dunghill

雑念の地下シェルター

ネバーランド(小説)

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4人の高校生たちが冬休みに誰もいない寮に残る。
クリスマスに正月、本来なら家族や恋人と過ごす時間を大人になりきれない男子高校生だけで過ごすこのシチュエーションはどこかわくわくさせるものがある。
そんな彼らはクリスマスの夜に告白ゲームを始めるがそのゲームにはルールがあり、それは告白することの中に1つ嘘を混ぜるということだった。
ゲームの中で全員過去にあったトラウマや隠し事を懺悔し皆が気まずくなってしまうほどの内容の話を吐き出すが、その中に1つ嘘が含んでいるというルールのおかげでどこか安心してしまう。
重い話だが、この部分は実は嘘ではないか?どこまでが嘘なのかわからなく、どこまでが真実なのかもわからない。
親友たちの懺悔をきっかけにそれまでとは違った見方、昨日までとは違う目で見てしまっている自分に気付く。
人は他人を認識する時に無意識で他人の性格をキャラ付けしてしまい、あいつは元気だ、真面目だ、面白い奴だといったように認識する。
そうしたイメージの植え付けで他人と接するが、本当の姿など自分がそうであるように相手に簡単に見せることなどない。
告白ゲームで友人に話したことがない秘密を懺悔することで自分たちだけで秘密を共有し、4人しかいない寮という閉鎖的な空間が不思議と連帯感のようなものも生む。
友達のことは全部知っているわけではないし、本当の自分をさらけ出したうえで付き合っていくのは難しいが彼らは理解者を作ることで少し前に進んだ。
高校生は大人が思っているよりもずっと悩んでいて、あっという間に大人になっていく。
そんな高校生のリアルが
7日間という日々で描かれ、最後には初日とどこか変わったかもしれない彼らを見ることができるはずだ。