A jewel in a dunghill

雑念の地下シェルター

とらドラ

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外から見られる自分と内なる自分。とらドラにおいてこのことが一番のテーマであると思う。
竜児と大河、二人はお互いに好きになった相手を知られ、それが互いの親友だったことから協力し合い恋を成就させようとする話だ。
怖い見た目から周囲に誤解される竜児に、かわいらしい外見だが性格は気が強くて恐れられている大河。二人はどこか似た者同士であり、何より理解者という存在が少ない。
竜児の好きな相手である櫛枝は大河の親友で、大河の好きな相手は竜児の親友の北村。この奇妙な関係に加えて北村の幼馴染である亜美の5人がそろったところで物語は大きく動きだしていく。




自分のことはわからない、だけど誰かに理解してもらいたい。高校生という大人になりきれない5人は悩み、壁にぶつかる。
親友と呼べる存在がいて、気が休まる場所があり、それでも5人は足を止めてしまう。竜児と大河だけでなく、他の3人も外と内の自分の存在に苦しむ。
竜児と大河の行動が3人にも影響を及ぼし、クラスメートといる時とはどこか違う、友情という一言では表せることができない関係に5人はなっていく。
共に悩み、苦しみ、答えを探し、自らの気持ちに気付きそれぞれは答えを出していく。
「本当の自分は自分でもわからない」
とらドラの登場人物は皆この思いを持っている。
それは他者からこう思われたいのに見た目や外からみた情報だけでそう思ってくれない。誰しも自分自身の理想像があり、そんな理想の自分を演じる。周りからみたら演じている性格・人柄をその人だと思い、本当の自分と他人から見た自分の演じたキャラのギャップに苦しむ。




あの人はいつも元気、大人だ、優等生、怖い、そんなイメージを周りから植えつけられ、自分でも演じるしかなかった。本当の自分を出してはいけなかった。
そんな4人の考えを変えたのが大河だった。
自分が思うがままに本当の自分を出し、めちゃくちゃなのにそれでも皆に愛されて、そんな大河と関わり4人は変わっていく。
互いに動き出し、影響され合い、高校生は1人では解決できないことが多いかもしれないが、仲間がいれば乗り越えることだってできる